「ちょっとあがる?」


「え?いいの?」


「うん、まだ何もないけど」


マンションの内装も見てみたかったという事もあり、今更警戒などする理由などもなく私は淳に誘われて家を見せてもらう事にした。



階段をあがって1番端の角部屋、501号室。


鍵をまわして淳がドアを開けた。



「どうぞ」



ドアを開けてすぐ真新しい匂いがした。
まだ誰も住んでいない匂い。


中は1LDKで12畳のリビングの隣にもうひとつ6畳の部屋があった。


物凄く広く感じたのは何も物が置いてなかったからかもしれない。


部屋の角に段ボールが3箱積み重ねてあって他に家具などは何ひとつない。


「まだ今きつくて実家で寝泊まりしてるから何も揃えてないんだ」



台所のシンクに張られたビニール袋を外しながら淳は部屋を見回す私に話しかける。