「俺も手伝うよ」



キッチンで、シンクに張られたお湯の中にお皿を入れていると森山くんがぴったりと私の隣に着く。


「あ、大丈夫ですよ。これくらいなら私もできますから」


「いいのいいの」


少し頬を赤くしている森山君からはきついお酒の臭いがした。



お皿をお湯につけ終え、私は森山くんにお礼を言ってみんなのいる場所へ戻ろうとしたけど
それを森山君が遮る。



「ちょっと話さない?」


「え?ここでですか?」


座る場所もなければ、あまり快適な空間でもないキッチンで話すのは良い気分ではない。


「いや?」


「いや、嫌じゃないですけど…」


「ねぇさえこちゃんさ、彼氏いるの?」



「え!?」



壁側にある大きなチャンバーに身を預け、視線をぶつけてくる森山君から少し体を遠ざけるように反対側にある壁に私もよっ掛かった。