自分の気持ちに気づいてからは、あまり顔を合わせないようにした。


ご飯に誘われたら紗枝と約束して断ったり、
ゲームをしようと言われたら体調が悪いからと断ったりもした。


紗枝はけんちゃんの事を何とも思っていないようだったけど、
一緒にいると色々考えてしまっていた。


一生懸命自分をコントロールしようとしても、
なかなか簡単にはいかない。



夜、けんちゃんが帰ってくるまで眠れなかったり、用もないのに用があるふりをしてメールをしてみたり。


結局ある夜苦しくなってベッドに入って泣いてしまった。


そんな時に限ってけんちゃんは早く帰ってくる。


本当は起きていって話したり、ゲームをしたり、
一緒にいたいと思っても我慢した方が後々苦しまなくて済む。


そう思ってまた寝たふりをする。


なのに。



「さえこちゃん起きてる?」


そんな時に限ってけんちゃんは話しかけてくる。