けんちゃんが着替えを済ませ、二人で車に乗ってケーキ屋さんに向かった。
でも
「あー閉まってるよ」
何軒か回ってみたけどどこも閉店していて結局ケーキを買うことはできなかった。
「すいません、気づくのが遅かったから」
残念がっている私とは反対にけんちゃんは笑って言う。
「実は俺甘いの嫌いなんだよね」
「え!?そうなんですか?じゃぁ言ってくれたらよかったのに」
「いや。俺の事喜ばせてくれようとしてるんだろうなぁと思ったら言えなくてさ。ごめんね」
けんちゃんのそんな優しさに触れる度に
心が温かくなっていた。
最初に疑っていた事なんて
この時にはもう完全に消えてしまっていた。