待ちくたびれてもう寝てしまおうかと思った夜中に、けんちゃんはやっと帰ってきた。
「あ、起きてたの?」
けんちゃんは顔が少し赤く、お酒を飲んできているようだった。
「はい、いつもこんなに遅いんですか?」
「いやいや。今日は特別遅い方。どうした?なんかあった?」
けんちゃんはスーツの上着を脱いでソファーに座る。
「これって…」
今朝貰ったお金の入った封筒を出すとけんちゃんは目を丸くする。
「ん?それがどうした?」
「これは貰えないです」
「なんで?」
「毎日五千円貰ってるじゃないですか」
「あれはご飯代でしょ?」
「いや、一日にご飯だけで五千円も使わないですよ」
現にこの時、ご飯代の残りだけで十万円近く貯まっていた。