「え!俺そんなに女に困ってそうに見える?」


笑っているけんちゃんに慌てて否定した。



「まあ理由はそれだけじゃないんだけどね。紗枝から聞いてない?」



思い当たる事はなかった。



「俺紗枝の事好きなんだよね」



驚いた。
歳もかなり離れているし
それにたった今、その紗枝は別の部屋で他の男とやっているのだから。



「いいんですか?」


「何が?」


「だって紗枝今…」


「いいよ。だって俺もう3回もフラれてるし、俺に口出せる権利はないしね」


けんちゃんは笑いながらお酒を口に含ませた。

その顔がどこか悲しそうに見える。


「ねぇさえこちゃんさ、その傷もしかして男にやられたとか?」


「いや…彼氏いないですよ」


「もしかして紗枝と同じ?」


「…え?」


「親にされたの?」



私は


黙って少し考えた後、ゆっくり頷いた。