「さえこー!」


階段を降りてきた紗枝は勢いをつけて私に飛び付いてきた。


「なんかすっごいいい匂いがする!」


私にハグする紗枝からふわりと甘い香りが漂った。


「え?あ、香水かな?シャネルだよ」


紗枝は自分の手首をクンクン嗅いで私の鼻の前にに手首を持ってきて香らせた。


「いい匂い」


香水はつけた事はあったけど、ブランド物なんてつけた事も匂った事もなかった。


「なんか紗枝大人みたい」


次に私が言った言葉。


紗枝は学校とはまるで違って見えた。

洋服も髪型も
すべてが紗枝を引き立たせていた。

見るからに高いピンヒールに丈の短いワンピース。

それに綺麗に巻かれた胸下まで伸びる髪。

自分も一生懸命お洒落してきたつもりだったけど、全然。


なんだか田舎臭くて恥ずかしくなった。


「ごめんね、私なんか変な格好してきちゃった」



「なんで?全然可愛いよ!私は好きだよ」


笑顔で言ってくれた紗枝の言葉でほんの少しだけ自信が持てた。


「ねぇ買い物しよ♪私欲しいものあるんだ」