「ちょっと下に物を落としたから出たんだけど戻って来たら鍵かかってたから」



怒られないように嘘をついた。



「嘘ばっかり。あんた3時間くらい帰ってこなかったじゃない。だから鍵閉めたのよ。大体鍵くらい閉めていってよね。…ったく…泥棒が入ったりしたらあんた責任とれるわけ?」



鍵をかけたのは母だった。


帰ってきたのも知っていた。


だけど、母は開けてくれなかった。


夜中に家を出た私がいけないから仕方ないんだ。


家に入って横になるとまた涙が出た。


コウと別れたのが辛くて?
それとも
家の暖かさに安心して?


きっと両方。


泣き疲れていつの間にか眠っていた。