その日、コウから電話がかかってきたのは夜の12時過ぎだった。


電話があった時は正直ほっとした。

けど、受話器の向こうにいるコウはいつもの様子とは違って大人しく、黙りこんでいた。



「今日行ったんだよ?7時まで待ってたんだけど、コウ来なかったから…勝手に帰ってきちゃった。ごめんね」


重たい空気が嫌で、わざと明るい声で言った。


でも
コウはうんとも言わない。


「どこかに行ってたの?あ、友達と遊んでたとか?」



そう聞いても何も答えない。



「もうクリスマス終わっちゃったね。どうしよっか?私は…明日も空いてるけど」



そう言ってからやっとコウが口を開いた。



「別れてほしいんだけど」



聞き間違いなんかじゃない。


はっきり聞こえた。



「……なんで?」



コウはまた黙り込む。



「コウ?」



「ん?」



「なんで?喧嘩の事で怒ってるの?」



「…違うよ」



「じゃあなんで?なんで急に別れたいとか…」



「…ごめん」



「ごめんじゃわからないよ…ちゃんと理由教えてよ…」