だけど、電話を切った後もコウからの電話はなく
結局そのまま約束の日になり、私はとりあえず待ち合わせの場所へと向かった。


ちゃんと謝ろう。

こんな特別な日だもん。

素直になるんだ。



そう決めて待ち合わせ場所に着いたのは約束の時間の30分前。


少し早めに着いた私はいつものようにバス停でボロボロのベンチに座ってコウを待つ。


手鏡を出してグロスを塗りながら
ふとコウと初めて待ち合わせした時の事を思い出した。


そういえば初めて会った時もこの場所で私がグロスを塗ってて…。


それは半年前の事。
懐かしくて自然に頬が緩む。


ベンチに座っていると雪が降り出して
ホワイトクリスマスだって降られる雪に一人喜んだ。


プレゼントに渡そうと買っておいたマフラーを手に持ってコウが来るのを待つ。


どんな顔をして会いに来るんだろう。


コウの事だから、またこっそり脅かしてきたりするのかな。

大丈夫。


大丈夫だよね。


すぐに仲直りできる。



はやく
コウに会いたい。



優しく中を舞っていた雪は
まるで何かを知らせるかのように
次第に激しさを増していった。