「学校も行かないで夏休みに入れば外うろうろして、あんたいい身分よね」


母は私になんと言って欲しかったのだろう。


「ごめんなさい」


それ以外、言葉が見つからない。



「こっちは休みなく働いて毎日汗流してきつい思いしてるっていうのに、本当にあんた幸せ者よね」



「ごめんなさい」



もう何も聞きたくなかった。
せっかくの幸せな誕生日を
台無しにしたくなかった。



「もう寝てもいい?」


たったそれだけを言うのにもかなりの勇気が必要だった。


「遊びほろけて疲れて寝て…あんた何様なの一体」



「ごめんなさい」


次の言葉が飛んでくる前に部屋へ逃げ込む。



今日一日くらいは幸せなまま終われると思っていたけど
ベッドに横になってはいたため息はやっぱり重たかった。