「……あの前田さんがここに住んでたのかぁ…」
「…知らなかったなぁ…」
「…もうかれこれ10年ぐらい経つものねぇ…」

ギャラリーの話に2人は聞き耳を立てた。




「…君が9歳の時に何か…?」

前田は顔を下に向けながら頷いた。


桜田は大きく溜め息をつくと前田の表情を伺いながら話を進めた。




「……言える範囲で構わないから…その時の状況を教えてもらってもいいかなぁ……?」

「……………」




………やはり言いづらいのだろう…


前田は全く話さなくなった。





「………ごめん…。……話変えよっか…」
「…僕が…!」

前田が突如口を開いた。


「…僕が…もう少し早く帰宅していればこんなことならなかったんだ…!」

「…………と……というのは…?」

どうやら前田の心の傷はかなり深いようだ…