夏琅は一度言葉を区切り、ベットの上に置かれていた左手で、真っ白のシーツきゅっと握った。
相変わらず窓の外を見ているので表情はわかんねーけど。
「あいつらの笑顔を……俺が原因で涙に変えるようなまねは…、したくねぇんだよ………っ」
開けていた窓から風が入り、さらさらと夏琅の髪がなびく。
何も言わず、こちらを向かず、
ただ黙って沈んでいく夕日を眺める夏琅は、儚くて……
ちゃんと捕まえてねーと消えてしまいそうだった。
そんな夏琅を見て、俺はまた泣きたくなった。
でも、一番辛いのは夏琅だから、俺は必死に涙を堪えた。
誰にも迷惑かけたくない
誰にも心配かけたくない
誰にも……泣いてほしくない
きっとみんなの泣き顔を想像して夏琅は言えないんだ。
「……言えるわけ、ねーだろ?」
「なつろ………」
それとも、言葉にすると嫌でも
現実だと認めなくてはならないから言えないんだろうか?
「俺があと二ヶ月で死ぬなんて」
誰にも言えない…。
でも、誰かに言わないと崩れてしまいそうで。
一人じゃ壊れてしまいそうで。
――だから、俺が夏琅を支えるそれが一晩考えて出した