「夏琅……」

「あ?」

「アリガトな」

照れ臭そうにはにかむ由輝を見たらまた涙が溢れそうになったので、俺は天を仰いだ。




「そろそろ帰るか……」

「おー。あ、そうだ!
明日から3日間くらい、精密検査とかで入院すんだけど、盲腸って事で話し合わせといて。」

由輝は悲しそうな顔をしたけど、「わかった」と言ってくれた。






そのあと、俺が歩きだと知った由輝は送っていくと言ってきかなかった。

いくら大丈夫だと言っても、
「お願いだから、無理しないでくれ」って泣きそうな声で言うもんだから………

俺はお言葉に甘えて送ってもらうことにした。



「ごめんな…由輝」

前にある背中に呟く。

迷惑かけてごめん。

泣かせてごめん。

悲しませてごめん。

あんなに泣く由輝、始めて見た。


…………來に、涼介に、利玖に、愛輝に、花梨に、この話をしたらみんな泣くのだろうか?

みんなが泣く姿が、胸によぎりズキンと心が痛んだ。


「ごめん」

由輝に、ここにはいない

かけがえのない大切な友達に、

小さく呟いた。