「君は珍しい心臓の病気なんだ。治療方法も薬も今の段階では分かっていないんだ…」

呆然とする。何も浮かばない。

受け入れたくない。

受け入れられない。

静かに涙が頬を伝った。


「でもね?」

医師が俺の肩に手を置く。

「医療技術は日々進化し続けてるんだ。もしかすると、治療方法や薬が開発されるかもしれない。」

「………そんなの」

二ヶ月じゃムリだろ。

俺を支配するのは絶望。


「それにね……」

  * * * * * *  


「ドナーが見つかれば助かるんだってさ!
……だから、そんな顔すんなよ」

今の由輝の顔は、いつのもの由輝からは考えられない様な情けない顔をしていた。


「なんで…っ……そんなの…っ」

そう言って由輝はうつむいた。

…なんで俺なんだろーな?


「ドナーが見つかんなかったら、そんときはそんときで運命を受け入れるしかねーよなあ!」

「夏琅……」

「ま!俺はいつでも人生エンジョイしてきたから後悔はねぇし?」

「夏琅…っ」

「やりのこした事は、残りの二ヶ月でするとして」

「夏琅っ!!」

由輝に右腕を掴まれた。