愛輝は身軽だし、反射神経もバランス感覚も抜群だから…地転やバク転などは余裕でできる。

スポーツをするなら新体操やダンスなどが向いているタイプだ。

…しかし、決して双子の由輝とは違って運動神経が良いわけではない。

なぜなら…それ以外は壊滅的だから。

足も遅いし、体力ないし、泳げないし、ボールもノーコンだし、どんくさいし…(笑)

苦笑しながら、愛輝が投げたボールを拾いに行く。


ふと男子の方を見ると、何かを囲んでざわついていた。

その中心は……夏琅?

見間違えるはずもない…私の大好きな人。


夏琅が倒れて……


「………っ!?」

考えるより、先に体が動いた。

「ちょ!?來ーっ」

「ごめん。男子の方に行ってくるって先生にいっといて!」

愛輝と花梨が後ろから追ってくるのがわかる。

でも、今の私に2人を待つ余裕なんて全くない。

全力で男子の方に走った。


タンカに乗せられ運ばれていく夏琅。

「夏琅!!」

「……來!?」

私の声に由輝たちが振り向く。

私は一番近くにいた涼介の腕を掴んだ。

「夏琅どうしたの?何で倒れてたのっ?大丈夫だよね!ねぇ!?」