「ちょっ、お前、それ!今さら言うなよっ」

「夏琅!來!さっきの話、いますぐ忘れて」

「いや、ムリだから」

「かなづちで殴れば忘れるんじゃない?」

「殺す気か!!」


キーンコーンカーンコーン

「ぎゃー!チャイム鳴った」

「遅刻だ!遅刻っ」

騒ぎながらダラダラ歩いていると授業開始のチャイムが校舎内に鳴り響いた。

みんな慌てて走りだす。

私も走ろとすると、後ろにいた夏琅に手首を掴まれた。


「夏琅…?」

「日曜日…どっか行きたいとこ、考えとけよ?」

振り向けば、優しい笑顔で微笑む夏琅。

普段とのギャップに、不覚にもドキッとしてしまう。


「うん…っ!」

私も笑顔で返事をした。

「おーい、そこのバカップルー!早く行くぞー」

階段を降りきった利玖がからかう様に言う。


「わーってるよ」

私の手を引いて階段を降りていく夏琅。

手首を握られていたはずなのに、いつのまにか手を繋いでいた。


気温は夏並に暑いに、

繋がれた夏琅の手は暑いんじゃなくて


――――温かかった




来週の休み…楽しみだな。