スプーンで一口食べる。

「美味い……」

「でしょ!お母さんのチャーハンはね、特別美味しーんだよ♪」

ニコニコと俺の隣で話す相原妹。

…誰かが作ったものを食べるなんていつぶりだろう?

普段、スーパーなどて売っているものしか食べていない俺にとって“誰かの手作り”は格別美味しかった。


「今日はもう遅いから、泊まっていけば?」

「え?」

「碓水君がよければね?」

そう言って微笑むのは、相原のお袋さん。


「いや、でも…迷惑なんじゃ…」

「うちは大丈夫よ!今日は利玖も泊まっていくから、1人増えるのも2人増えるのも一緒」

「そうしなよ!家も遠いんでしょ!?」

相原妹はガシッと俺の手を握る。

……もともと、家に帰る気はねぇんだけどな。

相原兄の顔を見れば「そうしたら?」と言われた。


「じゃあ……お世話になります」

軽く頭を下げた。

「私の事は好きな様に呼んでね」と言われたので、明美さんと呼ばせてもらうことにした。


その後…風呂から上がった葛城に泊まる事を話すと、「よし!朝まで語るぞーっ」と盛り上がっていた。