しばらくしそのままでいたが、お母さんに「風邪引く前に風呂入っちゃいなさい」と言われ、濡れたままも気持ち悪いので風呂に入る事にした。

そして1人になり冷静になった。

………あれ?

私、今思えばかなり恥ずかしいことしてたよ、ね?


先ほどまでの、自分の行動と言動を思い出して自然と頬が赤くなる。

うわ…っ!!ナシナシナシ!

あれは事故みたいなもんで…っ

大体ね!?

利玖が珍しく優しくするから、私も流されちゃった訳でぇ……。

うん。そうだ。

私はなーにーも悪くない。

全部、利玖のせいにしとこ。

そんな理不尽な事を考えながら、お風呂に入った。





「碓水はどうー?」

髪を拭きながらリビングに入る。

利玖の横がなんとなーく気まずくて、由輝ちゃんの隣に座った。


「――…っ」

不意に小さく動いた碓水。

私は一目散にそちらへ駆け寄り、碓水の顔を覗き込んだ。


うっすらと目を開いた碓水は

「………こ…はる…?」

誰かの名前をつぶやき頬に手を添えた。


――――こはる?

聞き覚えのない名前に利玖と由輝は顔を見合わせ首を傾げる。