走って走って…やっと教室につき何とか遅刻にはならなかった。


「ふー…ギリギリ」

「つ、疲れた……」

明らかに染めたであろう黄色っぽい茶色の髪を軽く手で整える利玖。

体力の無い愛輝は肩で息をしていて本気で辛そう。


教室に入ってまず俺の視界に入ったのは、1つの男女グループ。

派手な顔立ちに丁寧に巻かれた赤っぽい茶色の髪の工藤來(クドウ ライ)は黙々とケータイをいじっていた。

その隣で楽しそう談笑しているのは、艶のある黒いミディアムヘアの並木花梨(ナミキ カリン)と、

暗い茶色で少しくせ毛の萩原涼介(カジワラ リョウスケ)

「あ、おはよ!」

一番に俺たちに気付いたのは、涼介と話していた花梨だ。


「はよ」

「おはよう!」

「オース♪」

一通りあいさつを交わし、机に鞄を置く。


「らーい♪夏琅は?」

花梨の隣に座った愛輝がにまっと笑って、來に聞く。

「何で私に聞くのよ?」

「今、メールしてるくせに〜」

愛輝がからかうと、少し來の頬が赤くなった。

夏琅というのは、崎本夏琅(サキモト ナツロ)のこと。

來の彼氏で俺の親友。