「ハッ…ハァ……っう…」
あれから30分…。
立っているのは俺だけになった。
「口ほどでもねぇな」と言ってやりたいが、俺自身もそんなに余裕はない。
頭から血は流れるわ、左腕と右足には全く力が入らないわ、全身痛むわで…立ってるのがやっとの状態。
「さて…と」
口元についた血を拭い、乱闘前に投げ捨てた鞄を拾う。
右足を引きずりながら立ち去ろとすると
「オイ、待てよ…」
まだ立ち上がれるたふ奴がいたらしい。
いい加減にしろと思いながら振り向くと、そいつは俺の真後ろに立っていて………ヤバいっと思うと同時に
「死ね…碓水玲」
腹部に走る激痛。
「―――ッ、ぐっ」
膝から崩れる体は、冷たい地面の上に倒れた。
顔を上げれば、暗闇の中で微かに月明かりに照らされ見えたのは、三日月形に裂けた口。
手には赤い液体をつけた、鈍く妖しく光るナイフ。
「……おい、何やってんだ?」
気が付いた他の奴が、俺とそいつを見てギョッとする。
「お前…流石にヤバいって」
「逃げんぞ!!」
俺を刺した男は仲間に引きずられる様に連れていかれた。