お前らのおかげで、俺は大切な事をたくさん学べたこと。

本当に感謝してる。

ほら、目を閉じれば今だって……あの頃の事は鮮明に憶えている。

毎日が楽しかった。

いつも笑ってた。

それはお前らがいてくれたから。

でも……


―――玲っ、玲っ、

それ以上に色濃く残っているモノがある。

楽しかった毎日を真っ黒に塗り潰した忌まわしい記憶。


ギリッと奥歯を噛み締めた。

血が出るくらい強く拳を握った。

胃の辺りがドロドロと熱い。

……俺はもう何もいらない。

……誰とも関わらない。

だから………俺を過去に引きずり戻さないで。

一瞬だけ理人の寂しそうな表情が脳裏に浮かんでは消えた。

………ごめんな、理人。






………が、それ以外はいたっていつもと同じくだらない日常。

行くべき場所も、友達といえる人も、本当に何もない俺。

真っ暗な夜の道を今日も1人で歩く。

雨が降ってきて、髪や制服が濡れるのも気にしない。


「お前…碓水玲か?」

人通りの少ない路地裏。

今日はよく呼び止められるな。

数時間前に町中で呼び止められた事を思い出しながら振り向く。