「………………。」

「今はまだ悲しくて寂しくて幸せなんて言えないけど………でも、絶対に幸せになるからっ」

だって由輝ちゃんがそれを望んでるからね!

振り向きハニかむ相原。

「何で分かんの?」

「だって…私が由輝ちゃんの立場なら絶対にそう思うから!」

そう言って相原は胸を張る。

「バカらし………」

相手が思っている事が自分が思っている事と同じとは限らない。

相原が言うことが本当ならば、この世に“裏切り”というコトバは存在しない。

俺の前にしゃがんだ相原は、そのまま手を伸ばし耳に触れた。

「なんだよ?」

いきなりの行動を疑問に思う。

「ホンッット…碓水は小晴くんの気持ち分かってないね」

そして、また同じ事を言った。

私には小晴くんの気持ち伝わってるのになぁ…………。

近くで相原の呟く声が聞こえた。

俺は不適に笑う相原の顔を見る。

「碓水は誰とも関わりたくないとか、独りでいたいとか言うけどさ……」

「……………。」

「それって結局は、また自分が傷つくのが怖いから逃げてるだけじゃないの?」

立ち上がり扉の方へ歩き出す相原が言う。