安っぽいドラマの方が、よっぽど面白い……バカで、ちっぽけで、ゴミみたいに価値のない話。
それでも良いよと相原は言った。
だから俺は話した。
―――くだらない物語りを…。
(その物語りが後ほど俺の人生を)
(大きく動かす事なんて知らない)
「中学生の時に………」
「うん…」
「今のお前みたいに…何日も眠れない日が続いた日があった。」
眠って、あの人が夢に出てきて、
声や温もりや匂いを感じて………
心から幸せだって思える。
でも、夢はやっぱり夢で……。
目が醒めればその人はいなくて。
―――あぁ、あの人はもういないんだって……改めて実感してさ。
怖くて寂しくて辛くて苦しくて…
何日も眠れない日が続くんだ。
「お前もそんな感じだろ?」
今にも泣きだしそうな顔をして、うなずく相原の髪を撫でてやる。
「昔々………ある所に一人の男子中学生がいました。」
「あ、そんな感じ?昔々って……これ碓水の話でしょ?昔って言っても3〜5年くらい前の話じゃないの?昔々だと何百年前とか想像しちゃうんだけど。」
「…………黙って聞いてろ。」
静かになったと思ったのに……