「相原、鍵は?」

「ん……」

呼びかけても、俺の首に回す手が少し強くなるだけ。

コイツ………完全に寝てやがる。

仕方ないので、無理なの承知で扉に手をかける。

開くわけねぇよな…。

―――ガチャ

「え?」

絶対に無理だと思っていたのに、ドアノブを引けば扉は開いた。

………ウソだろ。

背中で寝ている女の不用心さに少し恐怖を覚えながら、家に入る。

家には入れてけど…どうするか。

流石に部屋はマズイと思ってリビングに運ぶことにした。

「ニャー」

不意に可愛らしい声が聞こえ、視線を足元に落とす。

灰色の小さな子猫が真っ黒の目で俺を見上げている。

ネコ……飼ったんだ。

こないだ来たときは多分いなかったから、最近飼ったんだと思う。

目が合うと子猫はトテトテとリビングの方へ歩いていった。

俺も子猫についていく。

リビングの扉も開きっぱなしだしクーラー付けっぱなしだし、電気付けっぱなしだし……。

ホント飛び出してきたって感じ。

俺は相原をソファーに寝かせた。

部屋は涼しいというより…寒い。

テーブルの上に置いてあったリモコンを発見。

設定温度12℃って……。