「なんだよ?」

「なんでもない」

じゃあね、って言って碓水の横を通りすぎると腕を掴まれた。

「なに?」

その整った顔を見上げる。

さっきと違い何時も通りの無表情に戻った碓水は私の腕を掴んだまま歩きだす。

「わわわ…ちょっと!?」

半ば引きずられる様に碓水についていく。

相変わらず力強いな!

でも……力強く引っ張っていってくれるその背中が、腕から伝わる温かい体温が、少しだけ由輝ちゃんと似ていて………。

ふりほどく事はできなかった。





墓地の階段の横…坂になっている原っぱに碓水と肩を並べ座る。

なんで階段に座らずに坂に座ったかは不明……。

でも、あの河原と似ていて少し切なくなった。

(見える景色も、隣にいる人も)

(全く違うのに)

「お前………大丈夫か?」

「うぇ?」

意外な言葉に私は碓水を見た。

ん?っと少し首を傾げる碓水。

「………大丈夫。」

ポツリと溢れた言葉。

私は碓水に笑ってみせる。

「大丈夫に決まってんじゃんっ!私は全ッッ然大丈夫!」

「………。」

「大丈夫……寂しくないよ。」

「……………。」

「一人でだって……」