「由輝ちゃん………ごめん、ね?――――――だいすきだよ」
そう言ってだいすきな由輝ちゃんの頬に最後のキスをした。
私の双子の片割れの由輝ちゃん。
私のお兄ちゃんの由輝ちゃん。
「バイバイ……ッッ」
私のだいすきな由輝ちゃん。
(貴方がいた日々を、時間を)
(私は決して忘れません)
Pour vous dire la fin
(亡き君へ告ぐ)
* * * *
あれから早くも2週間が過ぎた。
お母さんは今日から仕事に復帰するらしいけど、私は家に引きこもり勝ち……。
夏琅が検査も終わって正式に引退する日だって、利玖に誘われて行こうとは思ったけど結局行かなかった。
由輝ちゃんのいない町に出るのが怖いんだ……。
いたる場所に由輝ちゃんとの思い出が溢れているから、なるべく部屋から出ない。
ベットの中で丸くなってる。
今はもう昼過ぎ。
由輝ちゃんを失った日からずっと重い体を動かしベッドから出る。
お母さんは仕事でいないから、
昼ご飯は自炊しなきゃいけない。
冷蔵庫の中身は空っぽ。
適当に着替えて顔を洗い財布を持って家を出た。