「じゃあ、俺は帰るけど…お前もあんまり遅くなる前に帰れよ」

立ち上がった碓水君は振り返る事はなく、教室から出ていった。

残された私は動けずにいた。


私は今まで…何で勉強を頑張ってきたのかな?

2人といるのにふさわしい人間になりたいから?

この居場所を失いたくないから?

違う…本当は違うかった。


本当は、みんなから好かれる2人が羨ましかった。

私も2人みたいに、誰かに必要とされる存在になりたかった。

私の前を歩く2人に嫉妬してた。

みんなといる時は大丈夫なのに…1人になるとそんな事ばかり考えてしまう最低な私。

黒い想いが胸に広がる。

こんな想い、いらないよ。

だから必死に勉強したんだ。

必死に心のドロドロを無くそうとした。

そうしないと、2人と…みんなといるのが惨めで、嫌になってしまう気がしたから。


…………誰か1人で良いから、ちゃんと“私”を見てほしかった。

汚くて…ズルくて…卑怯でも…

頑張ってる私を

知ってほしかった。

認めてほしかった。