先生が聞いた話だと、通報を受け救急車が駆けつけた時………

由輝は血まみれで道路に倒れていたらしい。

山道のカーブの所で、ちょうど
前からトラックが来て避けようとしようとしたが、操作を誤り壁に衝突したと思われている。


  *  *  *  *  


「かなり出血しているぞ!タンカ急げ!!」

「近くの病院に搬送します!」

慌ただしい事故現場。

一時、通行止めとなりすぐに野次馬が集まって来た。


「……あ……の………ッッ…」

「!!!大丈夫!すぐ病院に連れてくからな!」

救急員の言葉に由輝は小さく首を横に振った。

「そ……ご…びょ…いん………」

「え?」

「心臓…の…病気で………総合…病院に……入、院して…いる……崎本…夏琅……って……高校生に俺の………心臓を………ッッ」

「何を言って………」

「俺っ……ドナーに……夏琅に…心臓……届け…て……」

「馬鹿なことを言うな!!」

「じ、かんが……夏琅…に、は…時間が……無い、ん…だよ…!」

「しかし!」

「お…願い…し…ます…夏琅を……助け…て…く…ださ……い…」