「お前…言ってたじゃねぇか…」

「なにを?」

「死にたくないって!生きたいって言ってたじゃねーか!!」


―――俺……死にたくねぇ

―――……生きてぇ、よ

「あの言葉は嘘だったのかよ!」


夏琅が病気だと知ったあの日。

星が見える町外れの丘で。

そう言って夏琅は泣いたのを、
俺は今でも鮮明に覚えている。

「俺は怖いよ…。夏琅がいなくなるなんて考えただけで怖くてたまんねぇよ…」

夏琅が願うなら、なんでも叶えてやりたい。夏琅が幸せになるならなんでもしてやりたい…。

だけど“俺の命を終わりにして”なんて…誰も望まない願いなんてしないでよ。


「………怖いに決まってるだろ」

「………じゃあ、なんで」

「でも…もっと怖いものがあるって、俺最近分かった。」

「え…?」

起き上がった夏琅は、俺の目を静かに見つめていた。

………夏琅の声は震えていた。

それでも言葉を繋いだ。


「俺がホントに怖いのは………俺が死んだあと、お前らの中から俺の存在が消えてく事なんだよ」

「…………………」