なのに…何でだよ?
夏琅は病気になんかに負けねぇなんて……。
俺たちの考えが甘いのか?
神様はどこまでも残酷だ。
バンド結成から数日経った。
作詞作曲の方は順調に進んでいるし、楽器演奏の方も…まあ、何とかなりそうだ。
楽器と練習の場所は夏琅の知り合いが貸してくれた。
俺と涼介以外は、ほぼ毎日そこで練習しているらしい。
もちろん夏琅の病室に顔を出すのもちゃんと忘れずに。
夏琅も毎日病気と戦っている。
「ねー、由輝ちゃん!たまには
一緒に夏琅のとこ行こうよ!
最近、あんまお見舞い行ってないんでしょ?」
ある日の夜。
今日は母さんがいないから、2人で晩飯を食べると愛輝が言ってきた。
………最近、俺は夏琅のお見舞いに行けずにいた。
「そりゃ、行きたいけどさ…」
毎日毎日、朝の8時から夜の7時まで部活に行って、それから夜の8時から10時までギターの練習。
それから飯食って風呂入って寝る毎日がそんな繰り返し。
忙しくてお見舞いに行けてない。
バンドの練習後に行くとしても、面会時間なんてとっくに過ぎてるから中に入れてもらえない。