―――――…あ。わかった。

あの表情も、この歌も、
全部、夏琅の気持ちなんだ。

それも、私たち宛ての。


間違ってるかもしれない。

ただの自惚れかもしれない。

でも、思わずにはいられない。


だってさ…………

良い歌と言った彼女たちには歌にしか聞こえない言葉も、

私の胸にはこんなにも重く響き渡るんでしょ?

こんなに涙が溢れるんでしょ?

ほら、周りは誰も泣いてないのに私たちだけ号泣だよ?

ガンバって堪えようとしてても、ぜんぜん止まりそうにないや。


〜〜〜〜……♪

「ありがとうございました!
少しでも俺の気持ちが届いていたら嬉しいです」

へへっとはにかむ夏琅。


夏琅………夏琅の気持ちは、
ちゃんと伝わってるからね。



「じゃ、俺はこれで!」

ステージ裏に戻っていくと思いきや、ギターを置いてそのままステージから降りてきた。


「「え………」」

「さ、帰んぞ!」

來の腕を掴んだかと思えば、人混みをかきわけ出口の方へ歩いていった。

体育館内がざわめくけど、完全無視で進んでいく夏琅。

仕方なく私たちもついて行った。