「夜は冷えるね」
「これ着て」
パサっと絢芽の肩にパーカーを羽織わせ、手を繋ぐ。
「…ありがとぅ」
ちょっと照れたような絢芽の表情に何も答えなかった。
「--円です」
レジの店員が値段を言い、絢芽が財布から金を取り出す前に俺が出した。
すると
「ダメ!私が出す!」
金を払い、荷物を受け取り店を出る俺の後を怒ってついてきた。
「涼くん!」
「俺が言ってんの。だから、いいの。ほら、行くよ」
空いてる方の手を差し出し、絢芽の手を取る。
「予約は俺が取るから」
「うん、よろしくね」
途中近くの公園により、ベンチに座り空を見上げる。
「キレイだね。旅行でも見れるかな?」
「山だからね。見えるよ」
俺がそう云うと、フフッと笑い「良かった」と言った。
「「ただいまー」」
家に帰り、玄関に入ると2人で声がハモった
顔を見合わせ、2人で「おかえり」と言って、笑い合った。
いろいろと寝る準備を済ませ、絢芽は部屋に戻った。
「…はい。……です。………では、お願いします」
ホテルの予約を取り、一安心。
そろそろ寝るか
自分の部屋に戻り布団を被る。
目を閉じるとすぅっと落ちていった
「涼くん早く!」
「ちょっ、絢芽早すぎ!」
「エヘヘ♪」
当日、俺達はホテルへと向かう。
絢芽のおかげで、ちょっと早いけど……
「ねぇ、見て。キレイ」
「……」
「涼くん?」
「……」
「寝ちゃったのか…」
……ウソ。寝たフリ
絢芽が見たくて寝たフリしてる俺って変態?
違うね
俺の思いは純情だよ
絢芽がキレイキレイと言っているのは海。
そして今は電車の中
ホント、可愛い。
「入りたいなー」
絢芽がボソッと呟いた言葉に思わず返してしまった。
「ダメ」
「へ?」
「絶対ダメ」
断固拒否!
他の男(ヤツ)に絢芽の水着姿を見せる!?んなのダメだ!
「ちぇ…いいよーだ。べぇーだ」
絢芽はそう言ってそっぽを向いた
そんな仕草にドキュンときてしまった俺は、やっぱり変態だ。
『次は、○○ー、○○でございます』
電車のアナウンスが入り、俺達の降りる駅についた。
「ほら、手」
「うん♪」
絢芽は俺の差し出した手を、ギュッと握った
「海行こうねー、海」
ニコニコしながら、絢芽は俺の手をさらにギュッと握った。
「楽しみだな」
「うん♪」
子供のようにはしゃぐ絢芽はとても可愛くて
思わずキスした。
「りょ、くん?」
ビックリした絢芽に意地悪したくなった俺。
「今日絢芽の全部貰うから」
ニヤッと笑い唇をゆっくりなぞるとビクンと絢芽のカラダが跳ねた。
「覚悟しててね、絢芽ちゃん…♪」
真っ赤な顔の絢芽をひっぱりホテルに到着
「疲れたぁー!」
「広いね」
俺がベッドにダイブすると絢芽がピタッと動きを止めた。
「…どうしたの?」
クスッと笑って言えば、ボッと赤くなった頬
――可愛い
「な、なんでもなっー……」
「意識してるんだ?」
絢芽の頬に手を添えると一歩後ずさりした
「ほら、意識してる」
クスッと笑うと涙目で睨みつけてきた。
「可愛い」
チュッと額にキスを落とし、俺は絢芽から離れた。
「~~っ」
「んー、海行こ♪泳ごうよ」
ニコッと絢芽の大好きな笑顔を向け言えば、ご機嫌は良くなり、海に。
「うわ~、きれいー!」
海に着くと、絢芽はキャッキャッとはしゃぎ海に飛び込んで行った。
「涼くーん!」
おーい、と俺を呼ぶ声が海から一つ。
それは1人しかいないよね、うん
「なんだよ、恥ずかしい」
「ヘヘッ」
キュンッ
は、ハートが……っ
「気持ちいいね~」
…気持ちいい
―……ニヤリ