「なあ、それやめろよ。」

なんだかそうやって自分を可愛く演じようとするモモに、イラついてしまう。

お前は、本物のアイドルとかじゃネーだろ?


普通にしてろよ

かわいこぶんなよ



俺はわかってるよ。



モモが意外と気が強くてはっきりした性格だってさ。

俺なんかに、媚売ってどうすんだよ?





そんな風に言ってやると、モモは驚いたように目を丸くして、持っていた紅茶のカップを落としそうになっていた。







「なんで?
なんでそんな風に言うのよ!?」



モモも俺につられたのか、急にキツイ口調に変わった。

でも、そのほうがずっといい

そのほうがこいつの本心に近い気がするから…





怒ったようなモモの顔をみて、なんだか面白くなって笑みがこぼれた。



「何で笑うの!?」



そういってふくれっ面になるモモに、やっぱりこっちの方がいいなって思う。




「そうそう、そうやってた方が、お前らしくて良いんじゃね?」



モモが怒りに任せて乱暴に置いたカップの周りには、紅茶がこぼれていて、それをテーブルにおいてあったナプキンで拭きながら、俺はちょっと楽しくなって言った。