午後の授業中も、ずっとモモのことばかり考えていた。


なんか変な感じだ…

リンダ以外の女のことが、こんなに気になるなんて。



ビトは納得して別れたんだろうか?

きっとすぐに気持ちを切り替えることなんて出来ないだろ?

あいつのことを考えると、切なくなる。

好きなのに、好きでいちゃいけないなんて…




俺だって同じだもんな。




まるで、ロミオとジュリエットみたいだ…









放課後になって、うちにも寄らずに真っすぐ目黒の白百合女子まで向かう。


校門の前まできたときに、モモについたことをメールした。


学校のロータリーには、高級車が並んでいて、次々に学生がそれぞれの迎えに来ている執事のようなオッサンに出迎えられ、車に乗り込み帰って行く。

歩いて帰る学生はごくわずか。



いかにも、金持ちが通うお嬢様学校って感じ。






「おい、お前!」


モモからのメールを待っていると、後ろからいきなり知らない男に声をかけられた。



「まさか、お前も二宮桃ちゃん目当てじゃねーだろうな?」



振り返るとそこには、首の寄れたTシャツに、どこでそんなの売ってんだ?ってくらいダサいデニムをはいた男達が数人俺を睨んでいた。

みんな似たような大きなリュックを背負い、バンダナをしたり、汚らしいロン毛だったり、メガネのヤツも多い。

一言でいうと、アキバ系?


間近で見たの初めてかも?




「だったらなんだよ。」


こっちもガンたれて、キツメに返したら、奴らはちょっとビビったみたいで、若干後退りした。



「も…、桃ちゃんには…まっ松本美人さんっていう、スゲー彼氏がいるんだからな!
追っかけたって無駄だぞ!」



ちゅーか、こいつらの方がどう考えても追っかけみたいだけど。




「知ってる。それがどうした?」



あいつとは別れたんだってことはあえて言わないで、ドスをきかせた声でもう一度答えると、また面白いくらいにそいつらはビビっている。


こんな時、親父に似てて良かったとか、たまに思うわ。