「旧校舎の近くに落し物をしちゃって・・・。
それで探してたら・・・。
下向いてたんで・・・。
そのまま壁に勢いよくガーンと・・・。」
と言ってあたしは笑う。
こんなのは嘘だらけだ。
周りには人もいっぱいいたし声も聞こえてたはず・・。
だから他の人に聞かれたら意味はないけど・・・。
それでもあたしは嘘をつきとおす。
先生の鋭くて見透かそうとする瞳に
負けないよう見つめ返す。
圭は何も言わない。
ただ下を見ている。
「それはほんとなの?」
「はい。ほんとのことです。
嘘はついてません」
あはは。と笑う。