「すいませーん。」


聴こえてきたのは女の人の声。



声のした方を振り返る。




「あ、それあたしの帽子です!

ありがとうございます!!」


ニコッと微笑んで手を差し出した女の人。


いや、同じくらいの年齢。




「あぁ・・・。どうぞ。」


俺は帽子を手渡す。






「・・・・どうして泣いてるんですか?」


「・・?泣いてないよ?」


唐突に話を振られて少し困ったけど、


そこまで驚かない。けど、質問にすこし驚いた。




「嘘、心の中涙でいっぱいですよ。」


そして碧、君のように優しく微笑んだんだ。



いつもの、君の笑顔で。