はぁ。
危なかった。

悠ったら、デリカシーってもんはないの??
あんな人の多い場所で言えるはずがないじゃない。

あたしは、
入学式
=甲子園
=行く
=結婚

になるんですけど!!

そんなこと、考えてるのは
あたしだけかもしれないし・・・。

言えるはずないって。


「に・・・逃げてきちゃった。」

あたしは、気づいたら家の前に居た。
逃げて来るのは、まずいよね・・・。
あたしは、今自分がした行動に後悔した。

「ばかぁ。あたしのバカ!!なんで逃げて来てんのよ!?」

あたしは、自分で自分の頭を叩いた。

「おい。叩いてもっとバカになったら、どうすんだよ。」
「は????」

あたしは、驚いて後ろを振り返った。

「菜~緒。」
「悠・・・。」

あたしは、呆然とした。
なんで、悠が??

「菜緒、驚いた?」

にっと笑った。

「なっ、なんでここにいるのよ??」

「へへ。嬉しい?」

いつもに増して可愛い顔をした。

「ばっ、ばか!!そんなはず、ないでしょう?」

あたしは、顔を真っ赤にした。

あり得ない!
悠なんて、あり得ない!!
絶対ないって!!!

「俺、ばかって言われるの、正直傷つくんですけど。」
「え。えっと、ごめん・・・。」

あたしは、落ち込んだような顔をしていたみたいで、

「あっれ?菜緒、落ち込んだ??」

は?
んなわけないでしょ??

「違うしッ!!」

あたしは、本当は甲子園のことで頭がいっぱいだった。

そんなこと、悠にはいえないけど。



「あっれ。あれって、跡部菜緒と、悠?
なんであの2人が一緒に。」

木陰から、優しく見つめるジャージの少年。

「おい。不二、ぼさっとすんな。」
「あ、すみません。」

その少年は、またランニングをはじめた。

あたしは、まだ知らなかった。