不審な行動に気づいた悠は、慌てて引き返った。


「菜緒っ!!」


悠は菜緒の前に無理矢理入り込み、両手いっぱい広げていた。


「悠...」


涙目でうずくまっている菜緒の体は、がくがくと震えていた。

悠も額から汗が流れ落ちた。



「すいません...。あの」


悠はその男等に頭を下げた。

菜緒の手をぎゅっ握り締めた手は、かすかに震えていた。


「悠...」


小さな声で菜緒が呟いた。

すると、男等も口を開いた。


「おいおい。君ら、若いね~」

「ちょっと彼女、譲ってよ~」


男等は菜緒に手を伸ばした。


「やめっ...」


菜緒は手を顔に被せて悠を抱きしめた。



パシンッ...



悠は男等の腕を掴んだ。



「・・・・菜緒は簡単に触っていい女じゃないの」


そう言ってパッと手を振り払った。


不良たちの顔色はパッと変わっていた。

すると、手を掴まれた男は大袈裟に笑った。

「はっ...ははは! ばっかじゃねぇーの!?」

そう言いながら、足がだんだん後ろに動いていった。


「ど...どうした!?」


その仲間がその様子を見て慌てた。

その男はすぐさま逃げた。

仲間等もその後を追いようにして、逃げていった。



「悠...」