俺が、
『あんな日』
とまで言った日。

それは・・・・・

菜緒との関係が崩れた日。



菜緒の家族は、仲がよくてケンカも滅多にしなかった。

菜緒の両親は優しく、とても親切な人だった。

菜緒には一人、兄がいた。

父、母、兄、菜緒。

そのような構成だった。

でも、その兄は今ここにいない。

この世に存在しない。

こんな言い方は、菜緒に、ううん。

菜緒の両親に失礼な言い方。


俺が、思い出したくないと言った。

怖くて、何故かどこか、痛かった。

思い出すと、胸が苦しくて、締め付けられそうな感じ。

もう、あんな日、

知りたくない。

もう、あんな空気、

吸いたくない。

忘れてしまいたいけど、

忘れられなくて、

忘れてはいけないような、気がして。

覚えている。

忘れない。

もう二度と。

俺の心から消えるはずがない。

消えてはならない。


忘れてはいけない日。

それは、今から二年とちょっと前。

忘れてはいけない、衝撃な出来事が起きた・・・・・・・。