キャー
観客から、監督から、仲間も、相手も、
みんな悲鳴のような声をあげた。
今、俺は倒れていた。
セカンドライナーの途中。
俺は、開くか開かないかの目を無理矢理開けた。
そこに映っていたのは、
不二。
お前だよ。
ザッザッザ・・・
誰かが俺に近づいてくる。
俺は立ち上がろうとした。
「・・・・え」
足が、動かなかった。
動かせなかった。
「君、大丈夫か?」
審判の人・・・・?
それと同時に監督やコーチ、チームメイトが寄ってくる。
「悠!!」
俺は、君に呼ばれた気がする。
菜緒・・・・・。
ドサ・・・
キャーーーーーーー・・・・・・・・・
終わった・・・・
俺はこれから先のことは、覚えていない。
あの、耳が切れそうなくらいうるさい悲鳴と
誰かが泣いている喚き声や、
救急車を必死に待つ声。
そんな聞きなれないことばかりが、頭を横切る。
俺は・・・
俺は・・・・・
俺はーーーー・・・・
「もう無理でしょう。夏の大会は諦めてください」
カーテンの向こう側から、母と先生の声がする。
母は、必死に涙をこられているようだった。
「そんな・・・・。そんなの、あんまりです・・・先生」
そんな弱弱しい母の声は、今まで生きていて聞いたことがなかった。
俺は、俺は、
俺のせいで、母を苦しめてしまった。
たった一人の俺のせいで。
「っ・・・・」
俺は、窓の方を見て泣いた。
声をおさえて泣いた。
不二・・・
俺はお前を許さない。