頭を撫でて……長い髪で遊ぶ。

シャンプーの香りが漂い、心地良い。




しばらくして……杏が俺の服を握った。


「どうした?」

「話があるの………」

「ん…。なに?」


優しく頭を撫で付ける。



杏は、腹を決めたのか……深呼吸を繰り返していた。



「陸――――……」


「ん?」


ゆっくりと顔をあげる。

服を握ったまま、目線を合わせた。



「あたしね?」

「ん……?」



杏の大きくて真っ黒な瞳が、俺に向けられる。


一度目を閉じて、ゆっくり開けてから続けた。











「あたしね、転校する。」




告げた瞬間―――…


俺の服を握る手に力が入る。




「松沢学園から、東雲学園に転校するね」