そのまま5時間が過ぎた―――。




杏は、あれから何も言わず……ソファーの下に座り込んで、パズルをやっている。


メシやお茶などは、いつもと同じようにしてくれているが――…

まったく喋らない。


静かに黙ったまま、手だけを動かしている。






そうこうしている内に、俺の仕事が終わった。



コーヒーの入ったカップだけを持ち、杏の隣へ腰を下ろす。



「仕事…終わったの?」

「終わった」

「お疲れ様………」

「サンキュ」


頭を撫でると、嬉しそうにハニかんだ。


いっつも放置だから……悪いよな……。

ちゃんと構ってやらないと、すぐにどこでも行きそうだ。



「杏…おいで?」

「………」


両手を広げると、一瞬キョトンとなったが、すぐに飛び込んで来た。