そこの椅子を引き、

「座れ」

私の背中を押す。


今から説教タイムなのだろう。

決して広いとは言えない部屋に、重い空気が漂う。



先生は、出入り口近くの壁に向かう。

部屋中に香ばしい香りが広がる。


「飲めんだろ」

目の前に置かれたマグカップからは、白い湯気が立つ。

「よくわかった…わかりましたね?」

「ん?」

「コーヒー、ブラックだったから」

「知らねぇ。だから入れてねぇ」


ちょっとだけど、キュンとしたのに!


「先生、そんなんじゃ彼女出来ませんよ」

嫌味くらい言わせて欲しい。