ホームに引かれた黄色い線。そのすぐ手前にある柱に寄り掛かりながら、私はスマートフォンの画面に見入っていた。

その時──

ドン!!と強い力で背中を押され、私は線路側に大きくバランスを崩した!!

私は脇に抱えていた鞄を落としたが、ホームと線路の境界線で何とか踏み止どまる。右側前方に見える電車の姿が目に入り、私の全身からサーっと血の気が引いていく。

もしも線路に落ちていたら、間違いなく轢かれていた。


ハッと我に返り、急いで振り返り周囲を見渡す。しかし、下校中の学生や年配の女性がいるだけで不審な人物は見当たらない。

「な、何・・・一体どういう事!?」

電車がホームに入って来た。
私は鞄を拾い上げ、周囲に注意を払いながら素早く乗車する。


どうにか平静は保っていたものの、余りの出来事に心臓の鼓動が激しく打ち付けていた。私は気持ちを落ち着かせようと、空いているシートに座って大きく深呼吸した。

もしかして、殺されそうになった?