私は意を決して、昼休憩中に長谷部を呼び出した。躊躇している余裕はない。

「長谷部、ちょっと良いかな?」

私はクラスメート達と談笑する長谷部を、半ば強引に廊下に連れ出した。


「何だよ?
面倒臭せえな。愛の告白なら良いけど」

長谷部は文句を言いながらも、渋々私と一緒に廊下に出た。私は長谷部の方に向くと、わざと薄ら笑いを浮かべながら問う。

「長谷部・・・あんたでしょ?
事故が起きる度に、ありもしない変な噂を流してるのは」


長谷部は一瞬激しく動揺し、視線を泳がせたが、直ぐに開き直って反論した。

「な・・・何か証拠があ、あるのかよ!!」

もう既に、その反応が証拠なんだけど。


私はここぞとばかり、長谷部を追い詰める。

「長谷部・・・私、知ってるんだ。
良いの?
生活指導の先生に言っても。
内申に響くだろうなあ。噂を流して、生徒を動揺させたなんて大問題だよね」

「さ、里川、ちょっと待てよ!!」

長谷部は私の言葉を聞き、明らかに焦った。高校3年生には、最も威力のある言葉だ。