「なんだ千里、失恋メールか?」
ハッとして振り返ると、兄がスマートフォンの画面を覗き込もうとしていた。
「ち、違うわよ!!
ケータイ小説を読んでるだけよ」
「ふーん、何か最近流行ってるらしいな。
どんなん感じなんだ?
ちょっと見せてみろよ」
「はいよ」
兄はスマートフォンを受け取り、AYUMIの小説を読んで言った。
「これ、面白いな」
「意外とね。文章も上手いし、言葉の選び方が良いよね」
「いや、そういう意味じゃない・・・
なあ、後でこのサイトのURLメールで送っといてくれ」
インテリ系の兄までが、ケータイ小説に興味を持つとは意外だ。
「うん、分かった」
でも、そんなに一生懸命に読むほどのモノでもないと思うけど。
私はスマートフォンを返してもらうと、兄に紹介メールを送信した。