その時──
目の前で激しく警報音が鳴り、遮断器が下り始めた。目の前を、電車が減速しながらホームへと入って行く・・・
「ふう・・・」
予想していなかった電車の通過に私はうろたえたが、あの店主が言った通り、催眠効果を疑わせる様な変化は表れなかった。
私は電車がホームに入っている隙に、踏切りを走って渡った。
病院に着き玄関付近の駐輪場を見ると、既に岸本の自転車が停まっていた。
そういえば、岸本は午後から早退していた。妹の容体が良くないのだろうか?
玄関に駆け込み、急いで愛美の病室へと向かう。
久し振りに愛美と会話が出来る。
それだけの事で、私の気持ちはいつになく高揚していた。