翌日――
放課後になると、私はさっそく愛美の入院している病院に向かった。久し振りに愛美と会話が出来ると思うと、最近起きた嫌な事などどうでも良くなってくる。
三春駅前まで着いた時、右に行くか左に行くか迷ったが、古本屋の店主が言った事を思い出す。
確か、催眠効果は長く続かないんだったよね。
私があの小説を最後に読んだのは先週だし、もう韻の効果はないだろう。
私は安全に遠回りするよりも、少しでも早く病院に着くあの踏切りを通る事にした。
しかし・・・
さすがに踏切りが近付いてくると、色々な事を思い出してきて気持ちが悪くなってきた。
やっぱり、引き返そうかな──
そう思った時、踏切りの前にある古物屋の店主らが、不思議な行動をしている姿が目に止まった。
表に陳列してある雨曝しの品物の周囲を、何度もグルグルと回っていたのだ。
何をしているんだろうか?
暫く立ち止まって眺めていると、首を傾げながら店内に戻って行った。