「鍵──か・・・」

私は帰宅途中の電車内で、店主から教えられた事を考えていた。


踏切りといえば警報音だが、もしあの音がその鍵だとすれば、もっと犠牲者が増えているハズだ。警報音ではない。

では、一体何が鍵なんだ?
何がキッカケになって催眠状態に陥り、勝手に歩き出すのだろう・・・


その時──
スマートフォンからメールの着信音が聞こえてきた。私に届くメールは、悪い知らせばかりだ。

まさか、また脅迫メール?


私が何か行動を起こす度、常に送られてくる脅迫メール。

最初は怖かったが、このパターンにも慣れてきた。それに、何か手掛かりになる事があるかも知れない。

真犯人捜しに行き詰まっていた私は、逆に脅迫メールに解決の糸口を求める様にもなっていた。

しかし――



千里、ヤッホ――!!

もうだいぶ元気になったよ。
千里が助けてくれたんだってね。
ありがとう!!

病院内はメール禁止だから、母さんに病院の外で送信してもらう様に頼んだのさ。

千里に会いたいよ。
今すぐ来──い!!


・・・愛美。
愛美からのメールだ!!

その明るい文章を見て、私はその場で人目もはばからず大声を出して泣いた。

良かった・・・本当に良かった。